ブルーライトとは、太陽光に含まれている波長が380~500nm(ナノメートル)の青色光のこと。紫外線の波長に近く、人の目で見ることのできる光(=可視光線)の中で非常に強力なエネルギーを持っています。また、ブルーライトは目や身体に大きな負担をかけると言われています。
目は体内リズムを調整する“時計”の役割を担っています。
目の網膜には、光の色と、明暗を感知する2つの視細胞が存在します。近年、このほかに「第3の視細胞」が発見され、サーカディアンリズムと呼ばれる体内リズムをコントロールする役割を果たしていることがわかってきました。
つまり、ブルーライトは健康を維持するために重要な役割を果たしている光なのです。
昔の人は太陽とともに生活していたため、ブルーライトを浴びるのは日中だけでした。しかし、近代になって照明が誕生してからは夜も明るくなり、人々の光環境と生活リズムは大きく変化しました。
とくに、青色発光ダイオードが登場してからは、LEDディスプレイを搭載したテレビやパソコン、スマートフォン、ゲーム機、さらにはLED照明など、身のまわりにブルーライトを発する機器が急増。これによって、生活の中でブルーライトを浴びる量が増え、体内リズムが乱れやすい環境になっています。
私たちの生活はブルーライトにかこまれているといっても過言ではありません。
私たちが1日のうち、パソコン、スマートフォン、テレビなど、あらゆるブルーライトを発するデジタル機器に接触する平均時間は約5時間20分(2017年度)。直近10年間で約83分も増加しています。
ブルーライトは、LED照明からも発せられているため、私たちがブルーライトを浴びる時間は確実に増えつつあるのです。
近年LEDが普及したことにより、日常生活でブルーライトを浴びる量が増えています。
ブルーライトの放出量はデバイスごとに異なりますが、中でもスマートフォン、ゲーム機、パソコンは放出量がとくに多く、注意が必要です。また、液晶テレビはブラウン管テレビの3倍以上のブルーライトを放出しています。
ブルーライトはエネルギーが強い光で、眩しさを感じる原因になります。そのため、瞳孔を縮めようとして目を細めて目の筋肉を酷使したり、画面を見るために姿勢が悪くなったりして、肩・首のこり、腰痛などにつながる可能性があります。
また、ブルーライトを大量に浴び続けると、網膜もダメージを受けてしまいます。
ブルーライトは体内リズムに影響を与える光。以下のような影響を身体に及ぼします。
睡眠への影響
朝、太陽光に含まれるブルーライトを浴びると、脳は「朝だ」と判断して覚醒します。一方、日が沈んでブルーライトの量が減少すると「夜だ」と判断して休息モードになります。しかし、夜でもデジタル機器を使う生活をしていると、こうした睡眠のサイクルが乱れ、自律神経の乱れにつながります。
病気リスクが高まる
自律神経が乱れることで、体温や心拍、血圧、血糖値、ホルモンなどの生理機能にも影響が出て、糖尿病や高血圧、心筋梗塞などの病気のリスクが高まります。
メンタルへの影響
ブルーライトは網膜から脳へと届けられ、アドレナリン、セロトニン、コルチゾールといった心の状態に影響を与えるさまざまなホルモンを刺激します。
成長過程にある子どもは、目の水晶体が透明でにごりがないため、大人の目以上にブルーライトの影響を受けやすいと考えられます。スマートフォンやゲーム機の画面に無防備にさらされる子どもの目を守るために、子どものうちからブルーライト対策をおこなうことをおすすめします。
デジタルディスプレイ機器から発せられるブルーライトは、目や身体に大きな負担をかけます。デジタルディスプレイ機器を使用する際は、以下のような工夫をすることが望ましいでしょう。
肩こりや首の痛み、眼精疲労……。ブルーライトが身体のさまざまな不調の一因になっているのかもしれません。私たちが生活する中で当たり前のように浴びているブルーライトは、人が見ることのできる光の中でも非常に強い光です。紫外線並みに眩しく、強烈なブルーライトを浴びると、知らず知らずのうちに目を細めたり、眩しくて見にくい画面を見るために身体に負担がかかる姿勢のままで作業をしたりすることになります。そのせいで目の筋肉や神経はもちろん、首、肩の筋肉にまで負担がかかり、身体がバランスを崩してしまっているのかもしれません。
実験概要
仮想のオフィス環境で、ブルーライトカットレンズ着用グループとダミーメガネ着用グループの目の疲労度を測定。終日のパソコン作業後に視神経機能の測定とアンケートを行ったところ、着用グループには「目の疲労度」が低下したという結果と、「目の疲労度」が改善したと感じる被験者が多くみられました。
※実験時はブルーライトカットレンズ(ブルーライトカット率38%)従来品着用。
※フリッカーテストと呼ばれる、高速で点滅する光を見分ける能力を測定することで視神経機能を診断する実験で目の疲労度合を測りました。
※東京ビジョンアイクリニック井手武先生が実施・監修(2015年時点)。
※ブルーライトカット率の基準はEN基準EN EN ISO12312-1:2013に基づき算出(ブルーライトカット率は度なしレンズにて算出)。
参照:Effect of Blue Light–Reducing Eye Glasses on Critical Flicker Frequency Ide, Takeshi MD, PhD*†; Toda, Ikuko MD*†; Miki, Emiko MD*; Tsubota, Kazuo MD†
Asia-Pacific Journal of Ophthalmology:
March/April 2015 - Volume 4 - Issue 2 - p 80–85
実験概要
日本マイクロソフト社の協力を得て、実際のオフィス環境での着用効果を検証。普段はメガネを着用しない487名の社員に、4日間パソコン作業中にブルーライトカットレンズのメガネを着用してもらったところ、「ピントが合わない」、「モニターがギラついて見える」、「首・肩・背中・腰が痛む」、「ストレスを感じる」、「目のまわりや奥が痛い」という5項目に改善傾向がみられました。
※実験時はブルーライトカットレンズ(ブルーライトカット率38%)従来品着用。
※東京ビジョンアイクリニック井手武先生が実施・監修(2012年時点)。
※ブルーライトカット率の基準はEN基準EN ISO12312-1:2013に基づき算出(ブルーライトカット率は度なしレンズにて算出)。
実験概要
東京大学名誉教授 増田寛次郎先生監修の実験結果を通じて、ブルーライトカットレンズ(ブルーライトカット率38%)の着用で「首・肩の痛み」「首・肩のこり」に改善傾向がみられることを確認しました。
※VDT症候群患者(ディスプレイ作業で目や心身への影響を受けている患者)を対象に、ブルーライトカットレンズ(ブルーライトカット率38%)着用とダミーメガネ着用2グループの健康状態を比較観察(4週間)する実験をおこなった。
※自覚症状を「1.良い〜5.悪い」の5段階に分けて計測。
※ブルーライトカット率の基準はEN基準EN ISO12312-1:2013に基づき算出(ブルーライトカット率は度なしレンズにて算出)。
実験概要
マウスを「光を全て通す箱」「UV光を遮断した箱」「ブルーライトカットレンズと同素材でできた100%の紫外線を完全に遮断し、約50%の青色光と一部の可視波長光を遮断した箱」に分け、白色蛍光灯を照射後、網膜への影響を検証。ブルーライトカットをした箱は、他の箱に比べて細胞死を約2/3に抑制し、光を受容する網膜視細胞の厚みを3倍に保ち、光障害を抑制するという結果を得ました。
※ブルーライト研究会が実施・監修 ※この実験はマウス実験で、人体への効果検証を保証するものではありません。この実験から「ブルーライトケア製品」の企画開発・設計に携わる企業を対象とした評価・認証プログラム「ブルーライト研究会認証制度」の基準を満たしたことにより、JINSは制度第一号として「ブルーライト研究会認証企業」の認証を受けました。
参照:Biological effects of blocking blue and other visible light on the mouse retina
• Toshio Narimatsu MD1,2,
• Yoko Ozawa MD PhD1,2,*,
• Seiji Miyake PhD1,
• Shunsuke Kubota MD PhD1,2,
• Kenya Yuki MD PhD1,2,
• Norihiro Nagai MD PhD1,2 and
• Kazuo Tsubota MD PhD2
Clinical & Experimental Ophthalmology
Volume 42, Issue 6, pages 555–563, August 2014
実験概要
ブルーライトカットレンズメガネの着用者とダミーメガネの着用者を比較実験したところ、ブルーライトカットレンズの着用者は、睡眠の質をコントロールして自然な眠りを誘う作用がある睡眠ホルモン「メラトニン」をより多く分泌していることが確認されました。
※実験時はブルーライトカットレンズ(ブルーライトカット率60%)着用。
※就寝前に2時間のスマートフォン作業をおこなった状態で、尿中の睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌量を計測。
※実験は慶應義塾大学医学部眼科学教室 綾木雅彦先生が実施・監修。
※ブルーライトカット率の基準はEN基準EN ISO12312-1:2013に基づき算出(ブルーライトカット率は度なしレンズにて算出)。
参照:Protective effect of blue-light shield eyewear for adults against light pollution from self-luminous devices used at Night. Ayaki M1, Hattori A2, Maruyama Y2, Nakano M2, Yoshimura M1, Kitazawa M1, Negishi K1, Tsubota K1.
Chronobiology Int., 2016. 33(1):134-9